清水三徳氏(元城北小学校校長)の釣り人生を振り返ります
第28話 《真夏の磯つり(1)》
 釣りをしながら、よく考えたものだった。釣り人生の中で何を得たのか、何を失ったのか。釣りを通して自然の美しさと、反対に自然を破壊しつつある人間の身勝手さを嫌と言う程知らされたと思う。何はともあれ、釣りは楽しいから釣るのだ。なんだかんだと理屈をつけて道を究めようとする修行僧のように大層なことを言うなと私は思う。
 真夏の磯は修行僧になった気分を味わえる。強烈に照りつける太陽、陽射しを遮るもののない水辺、焼けた磯の岩に海面からの照り返し、まるでオーブンの中に居るようなものである。このため、真夏の磯つりには徹底した熱中症対策が必要である。足下には短靴型の磯靴に厚手の綿ソックス。通気性の良いズボンとヒップガ−ド。ヒップガ−ドは通気性とともに耐熱性が求められる。磯に腰掛けた場合の火傷と汗疹にやられてしまうからだ。
上着は襟のある厚手ながらも通気性の良い綿シャツ、下には吸汗性、発汗性に優れた丸首の半袖シャツ(Tシャツ)は必須である。襟が無いと延髄が直射日光を受けて熱せられて脳炎を起こしてしまう。頭には日除けのついた帽子と、ヘルメットが望ましい。ここまで読まれればお判り頂けると思うが、露出してる肌は手首から先と、顔だけである。さらに、手首から先には手袋(フィッシンググローブ)でカバーすることが、指先の裂傷と火傷を防いでくれる。これにサングラス(偏光眼鏡)をセットすれば、町中では立派な銀行強盗スタイルである。
 水分の補給は欠かせないが、大きなクーラーは荷物となる。小さくても性能が良いものが水分補給専用にほしい。これに、使用済みのペットボトルに湯冷ましを入れて凍らせたものを持って行くと良い。氷の代用にもなり、溶ければ飲料水となるからだ。他のものを凍らせた場合には、全部が溶けるまで飲みにくい状態になってしまうし、アルコールを飲料水と扱った場合には、汗が噴き出して体内濃度が上がるばかりとなってしまい、かえってバテてしまうことになるので、ご注意を。
 最期に必需品として推奨したいのがビーチパラソルである。風が強い場合は邪魔になってしまうが、大半は風もなく暑いばかりであるから、日除けを作るのに役に立つ。クーラーにロープで縛っておけば、氷も長持ちし易くなる。竿ケースに1本忍ばせておけば助かることになるので、お薦めである。呉々もロープをお忘れ無いように。
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