清水三徳氏(元城北小学校校長)の釣り人生を振り返ります
第40話 《春来たりて最早初夏なり》
 今年は少し長かった桜の美しい季節が終わり、新緑の美しい初夏が最早到来と言っても良い気配である。GWも終わったが、美しい花々の季節は今が盛りの様で、家族連れでその名所に出かけるには最適な季節である。釣り師と言えば、渓流釣りや鮎釣りの解禁まで今少しとなり、内水面(川や湖沼釣りの総称)に興味のある方々は、準備に余念がないと思われる。
申し訳ないが、私にはこの釣りへの造詣は全くといっても差し支えが無い程持ち合わせていないので、本拙文にその向きの話題は登場する機会は極めて少なくなる。申し訳ないがお許し頂きたい。
 百花繚乱の季節になると海面を渡ってくる風も心なしか暖かく感じられる。この季節は、磯釣りも寒中の苦行から解放され、灼熱地獄化する真夏までのしばらくの時間は、磯も過ごしやすく、周りの風景も楽しめる時期となる。
 私や友人達が本拠地とする四国西南岸地域で海中に目を映せば、この季節の代名詞とも言える黍魚子(キビナゴ)の群れが頻繁に足下を通過し、実に美しく魅惑的な銀白色の帯を魅せてくれる。この時期のキビナゴは概ね10〜15pの大きさに成長し、脂の乗りも良く、刺身で食するには最適なサイズになっている。余談だが、黍魚子(キビナゴ)は食物連鎖の最下層に位置する魚(つまりいろいろな魚の餌になるもの)であることから、大変臆病で神経質な生き物である。さらに、生態系も良好な水質を必要とし、環境への順応を苦手とすることから、最新設備の水族館でも生育は難しいと聞いている。魚自体も傷み易いものであるため、冷凍技術が進歩した最近になるまでは、刺身は捕獲した地域でしか味わえなかったそうである。
 黍魚子(キビナゴ)は鹿児島県の郷土料理としてよく知られるが、西日本の太平洋岸では一般的な食材としてあるようだ。文献によれば、魚の中でDHA含有率がもっとも高いと言われ、EPAやカルシウムも豊富だそうだ。DHAやEPAは魚の油分に含まれる不飽和脂肪酸で、三大成人病(ガン、脳血管疾患、心臓病)すべてに予防効果があると言われている。刺身で食することが多い様だが、お薦めは唐揚げがいい。
友人はまだ花冷えの時期に3〜5p程度のものをかき揚げにするのが良いと言う。何れも酒肴に最適なのだが、酒量が増えても成人病の予防効果には・・・・・
効き目があるのだろうか・・・・・・
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