清水三徳氏(元城北小学校校長)の釣り人生を振り返ります
第47話 《今年の竿はじめは・・・》
雪道  今年は年末から年始に掛けて急激な寒波が訪れている。季節風は冷たく、山陰地方をもとより日本海側では大雪の便りが聞かれている。先日釣友が所用で山陰に出掛けたそうだが、結構な吹雪に出会い、「将にホワイトアウトです。恐いですよ・・・」と渋滞中の車内から連絡をくれた。20年以上も前に、四国は伊予街道国道56号法華津峠(ほけつとうげ)越えで「寒鰤釣り」に出掛けた折に夜間雪中立ち往生を体験したことがあるが、これは伝説の「雪女」が出るような雰囲気もあり、怖さが先立つものだった。今は携帯電話が普及しているから連絡も付け易いが、当時は沿道の公衆電話しかなく、寒さと孤立の恐怖で釣りどころでは無かった想い出がある。
とは言え、「ホケツに雪がふりゃ鰤がくる」と、渋滞を通り抜ければ意気盛んになったのも事実であり、所詮釣り師なんてものは・・・・である。
 年明けの磯は、地上の寒波襲来の割には海水温が高く(太平洋側)、大型の回遊魚は岸を離れているようだ。こうなると必要なことは『魚群探知』である。『魚群探知』と言っても実際に漁船に取り付けられている『魚探』を示すものではなく、友人達が情報交換をすることの隠語である。
四季折々の宴会では一堂に会する友人達であっても、彼らが同じ「磯」や渡船基地に集う事は、年に何度も無い。それぞれが得意とする釣りに、それぞれが気の合う船頭さんの情報を基に、磯に出掛けるからである。すなわち、この船頭さん達の情報を集めて回遊魚のルートを探索することが『魚群探知』なのである。ご存じのようにこれからの時期に最も狙われるのは鰤(ハマチも含む)やカンパチ、ヒラマサの高級魚であり、彼らは何時どの辺りに出没するかはわからない。船釣りであれば、「魚探」を駆使して魚を追えば良いが、磯釣りは魚の回遊路近くにポイントを獲らねば意味が無い。回遊路近くに撒き餌を討ち、小鰺や鯖を生き餌として放して当たりを待つのである。 ぶり大根
冬の磯  寒の『鰤』を代表する回遊魚は大型で、脂の乗りもよく、実に美味しい。餌に食らいつけば釣り味も存分に楽しめ、満足感もあり、季節風による寒さも飛んでいく。然りとて、この時期の磯には、暖かい季節には無い危険が潜んでいるのも事実である。釣行は経験豊富なベテランと複数人で計画して欲しい。魚は1本釣り上げれば5〜6人で分けても十分お土産となる。
家族は無事な顔を待っていることを忘れないで、安全第一でお願いしたい。
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